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新型コロナウィルス、いま大事な3つのこと。

新型コロナウィルス(COVID-19)感染症が世界的に広がり、昨日WHOがパンデミックを宣言しました。

日本でも今後もまだ暫くは感染者が増加するでしょう。


現在も日本はもちろん世界中でいろいろな人が

それぞれの考えを持って新型コロナウィルスと戦っております。


未知のウィルスであり、”あの時こうしておけば”

と振り返って非難することは簡単ですが、現状では刻々と変わる状況を踏まえて都度対応していく他に手段はありません。


世の中にいろいろな情報が溢れていますが、

日本全国(全世界)に新型コロナウィルスが広がった今日の状況において、重要なポイントとして意識していただきたい3つのことについて書きました。



1. ウィルスに関しての正しい知識を更新していくこと 

  

前述のように未知のウィルスであり、昨日までの正しい情報が今日になって間違いになるという可能性も十分にあります。

ですので、”〜らしい” という情報よりも下に記載する厚生労働省のホームページなど、その時点での最新かつ正確な情報を得るように心がけましょう。

  

<予防>

・正しい方法での手洗いが非常に大事。

・マスクに頼り過ぎて間違った使い方では逆にリスク増大の可能性あり。

 ※マスクのみでの予防効果は限定的


<小児の感染> 

0〜14歳の入院患者は全体の0.9%とやはり非常に少ない。

症状が軽いため検査されてない可能性はありますが、入院に至るケースは少ないと考えて良さそうです。

N Engl J Med 2020/NEJMoa2002032


<PCR検査>

多くの人が感染しても軽症で終える中で、検査の感度は70%以下(10人のうち3人は見逃す)とも言われており、間違って陰性とでてしまった人が、感染を広げてしまうリスクや検査を求めて来院した結果、病院で感染するなどのリスクや、検査希望者のために、医療現場がパンクしてしまうリスクもあり、数をたくさん行うことが良いわけではありません。

今日では医師が必要と認めたとき(=より疑わしい時:肺炎の原因が不明な時や集団感染を疑うときなど)には検査可能な体制となっており、現状では充分な体制と言えます。


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何故どんどんPCR検査をしないのか?検査の特性の解説です。

こちら(興味のない人は読み飛ばしてください)



※疫学調査(北海道など)のための検査などは例外です。

※今後簡易検査キットなども発売されてくると思いますが、現状では同じように使用していくことが重要です。

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<初期症状>

新型コロナウィルス感染 ”らしい”(=特徴的な)症状

→ 残念ながらありません。


しかし、逆に

新型コロナウィルス感染 ”らしくない” 症状

・発症初期の39℃を超える発熱

 ・嘔吐/下痢、リンパ節の腫れ、血痰、

  喉の赤み、扁桃の腫れ、発疹、

  眼の充血、鼻づまり

などが報告されており、今後の診療のヒントになるかもしれません。

N Engl J Med 2020/NEJMoa2002032




2. 感染拡大のスピードを抑えること


急激に感染が拡大すると、もちろん重症者の数もそれに比例して急激に増えます。

そうなると人工呼吸器が足りなくなるなど、必要な医療資源が必要な人に届かなくなることで、死亡者を増やしてしまうことに繋がります。

※イタリアでは急速な感染拡大により、60歳以上の患者への人工呼吸器使用を中止したなど報道があり、我々医療者にとっては非常に衝撃的なニュースでした。

  

限りある医療のキャパシティを超える重症者を同じ時期に発生させないこと。

最終的に合計の感染者数が同じであったたとしても、その増加数を緩やかにすることの意味がここにあります。


この視点では現在の日本の対策は、現状では概ねうまくいっていると言ってよいのでは無いかと思います。

※一斉休校などの対応の効果の検証は今後のために追って実施する必要があると思います。



3. 重症化のハイリスク者や高齢者を感染から守ること


高血圧・糖尿病・呼吸器疾患のある人や高齢者は重症化のリスクが高く、

ワクチンや治療薬が無い現在では重症化を止める手段はなく、人工呼吸器の使用などにより自然治癒を待つしかないのが現状です。

よって、如何にハイリスク者や高齢者から新型コロナウィルスを遠ざけることができるかが重要になります。


ハイリスク者や高齢者への感染を可能な限り抑えたうえでコロナウィルスの感染が広がっていくと、重症者を爆発的に増やすことなく社会としての抵抗力を持つことが可能になります。


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社会としての抵抗力とは


・新型コロナウィルスの特徴を解明すること


・ひとりひとりが新型コロナウィルス感染症と

 その予防に対する正しい知識を持つ

(パニックにならない)こと。


・人口の多くが感染し、抗体をもつこと。

(それにより、再感染しないかどうかは現時点では不明です)


ワクチンや治療薬の開発

(までの時間を稼ぐこと)


・国としての個人・企業への経済的補償の充足


などが挙げられます。


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今回の新型コロナウィルス感染症の流行により

普段私たちが漠然と考えていた


” 自分の身の回りの世界・社会が急に変わることはないだろう ”


という想いは残念ながら儚く崩れ去り、

1つの未知のウィルス出現だけで、こうも簡単に世界・生活が変わってしまうものなのかということを痛感させられました。


しかし、新型コロナウィルス感染症は健康・教育・経済にダメージのみを与えた訳ではなく、その中で個人・社会として気づき発展したことも既に多くあり、それはこれからも更に増えていくでしょう。


多くの人がウィルスと細菌の違いを学び、

手洗いの正しい方法を知り、

それぞれの業態の脆弱性を知り、

授業/仕事/会議の多くがオンラインで可能

なことを知り、

それぞれの地域・自治体で助け合い・連携

が増加し・・・etc 




今回の新型コロナウィルスの感染拡大が収束した後にも、そう遠くない未来に今回と似たようなことが生じることが予想されます。


今回の新型コロナウィルス感染に関して言えば、現状では社会で生活している以上は100%安全ということはなく誰しもが罹りうる疾患であり、これまでに比べて急に ”死”というものが私たちの身近に迫ってきました。


高血圧・糖尿病・呼吸器疾患を持つ人は新型コロナウィルス感染症では死亡のリスクが高い傾向があります。

これは新型コロナウィルスに限ったことでは無く、他の多くの感染症にも言えることです。


そのような時代において人は普段から何を重視して生活し、どのようにして死と向き合っていくのか。

これには大きく個人差があると思います。


※例えば

食事節制して糖尿病にならなければ、たばこをやめて呼吸器疾患にならなければリスクは減ります。

でも、死亡リスクが上がってもいいからたくさん食べて、たくさんタバコを吸ってそれで死ぬなら本望という人もいます


それはひとりひとりが選択していくことです。


当院ではこれからも患者さんひとりひとりと、

”どのような人生をおくりたいか”

を相談しながら、それぞれの想い・価値感に沿ったものになるよう、医療を通じて地域社会への関わりを目指していきます。

  



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